あぁ、もう夏が終わる。
結局俺、この夏休み何かしたっけか・・・

夜空に舞う花

--------------
今何してる?
--------------
特に用がないので、彼女の恭子になんとなくメールを送ってみた。
ピリリ・・・
おぉ、早いな。恭子からの返信だ。
--------------
何って・・・勉強ぢゃん?ヨータは勉強してる?
--------------
分かっててきいてんのかコイツは・・・((汗
俺は手短にメールを打った。
--------------
俺もさっきまでしてた。正確には昨日(笑)それよりどっか行かない?
--------------
あー、さすがに受験生なのに勉強してないって送るのはまずかったかなぁーとか思いつつ
俺は恭子からの返事を待った。
・・・来ない((汗
メール返すのに20分。
動かずにずっとベッドに寝転びながら待ってたのに。
恭子怒ったんかな・・・?
ピリリリリっ。
恭子からの着メロがなった。
俺は急いで、携帯を開いた。
---------------
・・・(汗) 何処か行くって何処行くの?
---------------
何処行くって聞かれても・・・
あ、そーいえば今日って超デカイ花火打つ日じゃん。
花火にしよ。
---------------
今日花火大会あるじゃん。それ行こう。
---------------
まーた返事が遅かったらどうしようかなぁー。
まぁいいや勉強しよう。見かけだけでも。
俺がシャーペンを握ってノートを開いたその瞬間
ピリリリっ!
「人がせっかく勉強してるって時に、この女はっ!!!」←初めにメールを送ったのはコイツ
---------------
分かった。ぢゃぁ6時にゥチに来てっ★(●´▽`●)
---------------
はいはい。分かりましたよ。この女王気取りが。
と、もう一通メールが。
誰からかな?
---------------
勉強しろよっ♪(o ̄∀ ̄)ノ
---------------
やかましいわ!!!




―――夕方。
ピンポーン。
「陽太!結構早かったじゃん!じゃ、早速行こ★」
「え、あぁ・・・」
「何?何かあたし変?あ、そっかぁー!私の浴衣姿に惚れ直した?」
図星だった。だから無意味にやたら否定した。
「ばっ・・・!んな訳ねーだろ!!!ちょっと太ったなぁって思っただけだよ・・・」
「なっ・・・!太ってなんかないっ!」
「どっちでもいいから早く乗れよ。時間ねーし。」
「あー!またそーやって話題そらすぅ〜!」
とか、言いつつ恭子は俺の自転車の後ろに乗った。
「そいじゃしゅっぱぁ〜つ!」
恭子の威勢のいい声で俺の自転車は前へ進んだ。
進むにつれ周りにも段々人が増えてきた。
花火大会には穴場の川原へ行く人達みたいだ。
「ねーねー、陽太ぁ。」
恭子が背中から服をぐいぐいと俺の服を引っ張った。
「何?どうかした?」
「何処見に行くのぉ?川原ぁ?」
「んなとこ行く訳ないだろ。第一俺人いるところ嫌いだし。」
「じゃぁ何処にいくの〜?」
「それは行ってからの秘密だな。」
「はぁ?何その意味の無い隠し事・・・」
「・・・っ(怒)とにかく黙って乗ってろ。」
「はーい。」
そう、恭子にはまだ内緒にしておきたいんだ。
俺が今から行く
この街の最高の景色が見れる
最高の場所を。




キキィー
「到着!ほれ、恭子降りろ。」
「はーい・・・って此処学校だよ?!」
「そーだよ。学校だよ。とにかく早く降りてくれって」
「あ、うん・・・」
俺が連れてきたのは俺達が通う中学校。
「恭子、こっちこっち。」
「み、見つかったらどーすんのぉ〜?ちょ、ちょっと待ってよぉ。」
「待たない」
←酷い
俺は校舎の裏口へと恭子の手を引っ張った。
「学校なんて入れるわけないじゃん。第一鍵しまってるし・・・」
ガラァッ
「開いた・・・」
恭子は口をあけて驚いている。
「此処の鍵壊れてるんだ。知らなかったろ?」
「ってゆーか知ってる奴なんかいないって絶対・・・」
あきれる恭子を更に校舎の上へ上へと誘導した。
「何処行くのぉ?私達の教室から見るのぉ?」
「もっといい場所。今は秘密。」
「もぅ〜〜〜」
少し怒りつつも恭子はちゃんと俺についてきている。
と、いうか俺が恭子の手を握って無理矢理引っ張っている訳なのだが。




そして、俺は最上階へと上り、ドアを開けた。
「此処だよ。」
ドアを開けたと同時に、心地の良い夏の風が校舎に入り込んだ。
「此処って・・・」
「どうぞ、お嬢様。」
俺が連れてきた場所は学校の屋上。
此処からは景色が360度見渡せるから、何処から花火を打ち上げても見る事が出来る。
俺が此処に連れてきた理由はそれだけじゃない。
もう一つは・・・
「私達が最初に知り合った場所じゃん・・・」
恭子が小さく呟いた。
「そうだよ。今日で一周年記念だしさ。なんか特別なことしてあげたくて。」
「陽太・・・ちょっとかっこいいじゃん・・・」
「素直に褒めろっつーの」
「やだ。」
「何で。」
「別に理由なんてない。」
「じゃぁ褒めろ。」
「褒めるほど何かした?」
「ッ!んのやろッ!」
そう言って俺は恭子を抱き締めた。
「陽太・・・」
腕の中で恭子がポツリと漏らした。
「ってゆーかさぁ・・・」
「うん。」
「暑い。」
「え?あ、ごめん!」
思いもよらぬ、恭子の発言に俺は戸惑い腕から離した。
「あはははは!嘘だよーん!陽太のえっち!!!」
「なッ・・!!別に俺はえっちでもスケベでもなんでもなーい!!!」
「嘘だー!!!」
俺が追いかけようとしたその時だった。










ドォーン!!






「始まった!」
続いてまた3発同時に打ち上げられた。
「わぁー!すごいすごーい!凄いおっきく見えるじゃん!此処!!」
恭子の言葉通り、花火はとても大きかった。
「陽太見てー!あれ緑〜!」
「あ、ホントだ。緑だ。」
次々と色んな花火が打ち上げられていく。
赤・青・緑・白・・・
どの花火も見事に綺麗だった。
「ホント綺麗だねぇー・・・」
でも
「あぁ、そうだな・・・」
花火よりも
「ほら、あれ変わった形だよ!」
何よりも
「え?あ、ホントだ。」
綺麗だったのは
「さっきからそればっか・・・って何で私の顔見てんの・・・?」
「え?み、見てねーよ!恭子の顔なんか!」
「嘘ばっかー!陽太のえっちー!あはははははは!!!」
君だったりして。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送